退職したとたんに年賀状の枚数が激減して、ショックを受ける男性が多いと聞きます。去年までの何百枚の年賀状や何十年間の付き合いは何だったのか?と愕然とされるようです。
会社という組織の中でバリバリ働いてきた男性ほど、あるいは、会社で高い地位にのぼった男性ほど退職ショックは大きいようです。
たくさんの部下を持ち、「部長」とよばれていた自分が、退職したら「ただのひと」。
「○○会社の部長」なら、黙っていても人が寄ってきたのに、これからは自分個人に人が寄ってくるかわからない。いえ、他人だけではなく、妻でさえも寄ってくるかどうかわかりません。
会社第一で働いてきたある男性のケースですが、定年後のある日、帰宅すると家の中が空っぽでした。妻が家具から貯金通帳まで一切合切もって出て行ってしまったそうです。それも夫に一言の断りもなかったそうです。
夫のほうは妻が家出をするなどとは夢にも思っていませんでしたし、何か原因があったのかという好奇心が頭を持ち上げてきましたがさっぱり見当がつきません。
そこで、仕事はできたが家事能力ゼロの夫は仕方なく、有料老人ホームに申し込み、すぐに入居しました。なぜなら一人で生活できないからです。
夫の立場からすればとんでもない妻だということになるでしょう。妻の立場からすれば、そこまで妻を追い込んだ夫に問題がある、どうしてもっと早く気付いてくれなかったのか、と言いたいところかもしれません。
手放せられない背広
定年から何年も経つのに、夫が背広を整理してくれないというお悩みをお聞きしました。
「いくら言ってもダメなんです。背広なんて今では着ることもないし場所をとるばかりだから捨ててほしいのに「うるさい!」の一言で終わりです。」
このように背広は、妻と夫の間における片づけの攻防の一つなのです。
もちろん新調した背広ではなく在職時の背広です。70代半ばのある男性は現役時代のスーツを15着、変え上着を20着、今でも持っているそうです。
夫からすると、背広を着てバリバリと働いていた自分の思い出と誇りが背広に執着させてしまうのでしょうか?
特に衣類にはこの傾向が強いようです。
なぜ、「背広が捨てられないか?」ご自身でよく考えてみてください。
過去を引きずって起きていくのか?新しい活力のある生活をしていくのか?少し明るめの服を新調して、お出かけなさってみてはいかがでしょうか?
これは「老前整理」を提唱されている老前整理コンサルタント くらしかる代表の坂岡洋子さんも進められている、「明るく元気で人生をもっと豊かにする」ための一工夫です。気力・体力のあるうちに残りの人生で「使う」ものだけに厳選、整理をすることで心も暮らしも楽になってくるといいます。
きっと今までと違ったものが見えて来ると思いますよ!